【内田雅也の追球】鳥谷、見事なまでのトンネル 不屈の安打で取り返す
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2016/09/28/kiji/K20160928013433690.html

 何度も書くが、野球は失敗のスポーツであり、ミスは付き物である。

 そのためだろう。「ミスをした方が負け」という言い方がある。これは特に
日本野球で根強い考え方である。打ち勝つ野球を目指すアメリカと、守り抜く
精神を鍛える日本。国民性が出ている。

 ただし、この「ミスをした方が負け」について広澤克実(スポニチ本紙評論
家)はもう少し丁寧な言い方をしている。「実際にミスは起きる。だから、そ
のミスをカバーできなかったり、取り返せなかった方が負けるんです」。

 この夜、阪神は数多くのミスを犯したが、最後に取り返して見せた。失敗を
糧にした勝利は教訓的だ。不撓不屈(ふとうふくつ)の精神が見えるではない
か。

 なかでも、鳥谷敬を取り上げたい。1―1同点の7回表、2死一、二塁から
三ゴロ失策で勝ち越し点を献上した。ボテボテのゴロがやや三塁ベース寄りに
転がり、腰を落とし大事に捕りにいき、両手を上げた直後に緩い打球が股間を
抜けていった。見事なまでのトンネルだった。論評する必要もないミスである。

 ただし、鳥谷の不屈はその後である。2―3と1点を追う展開となった8回
裏1死、ルーキのスライダーに食らいついた一打は中前に落ちた。4連打逆転
の口火を切る安打となったのだ。