2016.12.26 08:00
【虎に劇薬を注入した男】(1)巧みな星野操縦でV導いた伊良部
http://www.sanspo.com/baseball/news/20161226/tig16122608000001-n1.html

 劇薬とは「パワフルドラッグ」と呼ぶ。阪神は糸井嘉男選手(35)という
野性的な男を補強した。タッタ1粒でドラスチックに変貌が期待できるが、刺
激が強すぎるともいえる。だが、サイは投げられた。猛虎復活のカンフル剤の
歴史を振り返りながら、金本阪神の夢を5回に渡って追う『虎に劇薬を注入し
た男』。まずは投手編にスポットライトを当てる。


 あちこちの痛みと故障と肺血栓など、ガタガタの身体となったけれど…それ
でも2002年12月、阪神は1年2億円という条件で入団させた。星野仙一
が監督2年目。

 彼は金本知憲をFAで広島から強奪し、野口寿浩、下柳剛、中村豊を日本ハ
ムから、中日から久慈照嘉を引き戻した。この星野戦略のターゲットは伊良部
の再生にかかっていた。

 星野は伊良部に「メジャー流の調整は許さんゾ」と厳命し、故障ばかりの3
4歳を抑えの切り札に予定した。だが、キャンプ初日に伊良部は「先発オンリ
ーで行きたい」と星野案を根底から覆す申し出をして、ガンとして譲らなかっ
た。いきなり反抗? いや、星野は“男気”と「子供のような率直さ」を嗅ぎ
取り、賭けた。

 「あいつは型にはめない方がいい…」

 カミナリおやじが初めてみせた操縦術は「信頼」だった。とことん話し合う
こと。そこから星野が見極めたのは「伊良部は野球には実に熱心で純粋」とい
う“野球小僧”の部分だ。