元日 甲子園の祈りと誓い
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2017/01/08/kiji/20170107s00001173203000c.html

 【内田雅也の広角追球】甲子園球場で初日の出を拝むようになって4年目に
なる。今年も夜明け前に訪ねた。

 まだ薄暗く、正面玄関前は「阪神甲子園球場」の真白な照明に照らされてい
た。広場に1羽、白い羽に、ところどころ黒が交じったハトがいた。酉(とり)
年の白と黒である。勝負をつかさどる鳥なのかもしれない。

 午前7時、関係者出入り口で警備員の男性と新年のあいさつを交わし、球場
内に入った。エレベーターで4階の記者席に上がる。

 例年同様、静かだった。物音のない世界である。時折、海鳥が上空を横切る。
整地されたグラウンドが美しい。厳かで清らかな淑気(しゅくき)が満ちてい
た。

 阪神園芸のグラウンドキーパーたちが立てたのだろう。マウンド上には注連
(しめ)飾りがあった。「しめ」は占めるの意味だという。神が占有している
場所を明らかにするための縄である。確かに、甲子園球場には女神や魔物が棲
(す)んでいる。

 戦前は「東アルプス」と呼んだように、甲子園球場の朝日は三塁側アルプス
スタンドから昇る。7時14分、その東の空が赤みがかってきた。雲は切れて
いる。空は美しく初茜(はつあかね)に染まった。

 そして、光が差した。御来光である。午前7時17分、甲子園に初日の出が
顔を出した。黄金色の光が一塁側内野スタンドを照らし、輝いている。

 その神々しさに感慨深く、祈らずにはいられない。日本野球の聖地と言われ
る甲子園である。本拠地とする阪神タイガースはもちろん、春夏に熱闘が展開
される高校野球、そしてすべての野球人の幸運と球運を祈った。