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 阪神の名ショートと言えば吉田義男。その吉田をセカンドへ押しやる格好
で入団2年目にショートのレギュラーに就いたのが藤田だった。小柄で華麗
な守備から「牛若丸」の愛称で親しまれた吉田が自らの技量や心得を唯一
指南した後輩が藤田だと言われている。

 「阪神の先輩から『吉田さんは誰にも教えない』と聞かされていたので驚い
たよ。俺を後継者として認めてくれたから色々と伝えてくれたと、後になって
聞いたな」

 藤田はそう語ったことがある。

自身がブレイザーからコンバートを言い渡されたとき、10数年間ショートを
守ってきたプライドは「もう、あの時はそれほどなかった。真弓をショートにする
という方針が分かっていたから」と振り返る。ファーストが主戦場になった藤田
は後進の育成にも時間を割くようになったという。82年に真弓の後継として明
大から平田勝男が入団すると、自らノックして指導。83年にはセカンド岡田彰
布の故障もあり、今度は平田が真弓をセカンドに回す形でショートのレギュラー
を奪った。藤田は言う。

 「吉田さんがそうであったように、阪神のショートはそうやって引き継いでき
た歴史がある」