>>237
最近、球団の上の方がうるさくてさ。ドラフト1位候補といわれる社会人や大学生投手の実力が
本物かどうか見極めてこいって、暇さえあれば尻を叩かれるんだ。
二軍相手とはいえ、プロから7者連続奪三振の創価大・田中正義に右肩関節炎が発覚。
2月に日本代表を辞退したころから右肩の関節が緩いとか、ルーズ
ショルダーがクセになっているというウワサがあった。肘ならともかく、肩の故障っていうのは深刻だからね。
ぶっちぎりの1位候補に異変が発生したことで、どの球団も本気で他の候補に目を向け始めたらしい。ウチもそうさ。
ただでさえ暗い部長の顔つきが、いっそう険しくなってきたもんね。
で、オレの担当地区の投手も改めて調査対象になったというわけ。スポーツ紙に「1位候補」と書かれたある
大学リーグの右腕で、150キロを超すストレートが武器。かなり三振も取るし、防御率もいい。
だから選手を評価する指標の数字、あの、何て言ったっけ? セイブ・・・じゃなくてセイバーメトリクス? 
アマ選手を対象にあれを採用してる球団の評価はたぶん秀逸だと思うよ。
そういえばこの前のスカウト会議でも、部長たちはエラく評価してたっけ。
担当として改めてじっくり見てきたけど、オレは評価しないね。プロでは厳しいと思った。理由はコントロールと変化球の質さ。
ボール球だろうと、大学生相手なら球威で押せば空振りも取れる。けど、プロの打者は違う。球速や球威が
あるからといって、それだけでボール球には手を出さない。
外角のボール1個分の出し入れができるくらいの制球力がなければ、プロでは通用しないケースが多いんだ。
それでも突出した変化球があれば、多少の制球難は補える。プロにワンバウンドのフォークボールを空振りする
打者がいるのは、それだけキレがあってストレートとの見極めが難しいからだ。

担当する投手の決め球はスライダー。軌道がストレートで打者の手元に来てピュンと外に逃げるスライダーはプロでも手が出るが、
その投手のはかなり投手寄りでドロンと曲がって、しかもボールになる。大学生からは空振りを取れても、プロの打者には見極められるだろう。