権藤博の「奔放主義」
球団に翻弄されて…阪神・藤浪に必要なのは“聞き流す力”

思えば、彼ほど阪神という球団の特殊性に振り回された投手もいなかったのではないか。高卒1年目
から、やれインステップがどう、シュート回転がどう、右ヒジの位置がどうだ、と欠点をあげつらわ
れた。

甲子園の優勝投手で素材抜群のスター候補。期待が大きい分、コーチもOBもメディアもいろいろな
ことを言って、それが必要以上に大きなニュースになる。まさに阪神ならでは。ルーキーイヤーに
10勝(6敗)を挙げても、いや2ケタ勝ったからこそ、周囲はもっと上を望み、またぞろ四球が多
いだ、力み過ぎだ、もっと低めに投げろと、おせっかいを焼く。

藤浪は5年目の今季、8試合に先発して43四死球といよいよ「暴れ馬」に拍車がかかり、危険球か
ら崩れる悪循環に陥った。コントロールやフォームを気にし過ぎ、どんどんスケールが小さくなって
いるのも、入団以来ずっと耳に入り続けてきた周囲からの“雑音”と無関係ではないと思うのだ。

3月のWBC日本代表に招集した際、投手コーチとして私はひとつだけ彼にアドバイスした。

「軸足の右足にしっかりと体重を乗せ、力をためてから投げなさい。キャッチボールのときに体重移
動を意識するだけでいいんだ」

そして、こう付け加えた。

「荒れ球をどう生かすかだ。細かな制球なんて考えず、だいたいのところにいけばいい。それがおま
えのコントロールだ」

加減して投げ、ヒットからの一発長打を食らうくらいなら、力強く腕を振って球が荒れた方が打者は
怖い。四球を連続4つ出したって取られるのは1点。本人はもちろんのこと、首脳陣にも周囲にもそ
れくらいおおらかな気持ちでいて欲しい。

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