【石井一久クロスファイア】“面食らった”阪神・鳥谷の羽子板打ち
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2017/09/13/kiji/20170912s00001173406000c.html

 先週、通算2000安打を達成した阪神・鳥谷で、僕が覚えている打席がある。メジャーから
ヤクルトに復帰した06年。初めての対戦(6月24日)は甲子園で、二塁手の頭上をライナー
で越える中前打を打たれた。その時の感覚が、バットではなく、羽子板でポ〜ンと打たれた
ように感じた。

 点ではなく、バットの面で打つ。もちろん、羽子板のような広い面はないが、それぐらいバッ
トとボールの接地時間も長く、面ではじかれたように感じた。僕のキャリアの中でメジャーリー
ガーとの対戦も含めて、その感覚は鳥谷のこの打席1度だけ。あくまでも打たれた投手の感
覚だが、バットの面を使って打つ技術が2000安打の根底にあるのではないか。

 でも、鳥谷の一番凄いところはやっぱり、どんな状況でも打席に立ち続けたこと。歴代2位
の連続出場記録を継続中だが、死球による骨折など、ケガがなかったわけではない。しかし、
その恐怖心にも打ち勝ってきた。

 鳥谷の場合、守備の負担も大きい。今季は守備位置が遊撃から三塁に変わったが、一番
強い打球が飛んでくるだけでなく、土のグラウンドの甲子園を本拠地とするだけに、三塁線
のボテボテのゴロも多い。左右の動きこそ遊撃手と比べると、少なくなるが、その分、前後の
動きが出てくる。決して守備が楽になったわけではない中で、打率3割前後をキープし、
.236に終わった昨季からV字回復したことは凄いとしか言いようがない。

 ところで、今季の2000安打達成者は、日米通算の青木も加えると、中日・荒木、巨人・阿
部に次いで4人目。昔は2000安打は、スーパースターの勲章だったが、今ではいい打者の
ベーシックな数字になっている。その意味では、200勝投手とのパワーバランスが崩れつつ
ある。別に僕が182勝で引退したから言っているわけではない。僕は記録より記憶。あっ!
記憶にも残ってないか。(スポニチ本紙評論家)


[ 2017年9月13日 09:26]