今季一軍登録は僅か19日。一時期を除き、登録日に登板翌日末梢の繰返し。
大半を二軍で過ごし、ワースト記録に数多く名を残した。

試合では快速球は半速球となった。変化球も定まらなかった。試合毎ではなく投げる毎に。
打者は簡単に捉え、その打球は今まで以上に高く遠く飛んだ。がっくりと膝を地に付く回数が増えた。
毎回斎藤は「こんなはずじゃない」と奮起し、投げる度に見つかる課題の克服に試行錯誤を重ねた。

だが…

一瞬好転する事はあっても持続する事はなかった。チームの順位もほぼ確定した9月27日。
文字通りのラストチャンス。投げ合う相手はエース金子千尋。年俸差実に25倍。

前回7月11日には木っ端微塵にされた。リベンジしなければいけない。斎藤の大敗を期待したのか、
それとも今季で日本球界を去ると噂される大谷の最後の姿見たさか観客は前日より増えた。

投げた…

今季最長の6回。球数も最多90球。2失点。先発投手としては充分な仕事をしたはずだ。
しかしそれ以上に金子千尋は得点を与えなかった。エースである投手とエースになれなかった投手の差。
手応えは掴んだ。カットボールに手こずらせた。三振も今季最多の4を記録した。しかし斎藤の評価はいつも通りの翌日末梢。

再び

チーム今季最終戦に呼ばれた。先発ではない。多くの若手メンバーがフェニックスリーグに割かれたその埋め合わせに。
マウンドには10勝目を賭けた早大ドラフト1位後輩の有原。負け越しはしたがローテを守った。
斎藤が今まで達した事がない二桁勝利をブルペンで見ていた。僅差の試合ではマウンドにコールされる事はなかった。

次…

斎藤の投げる場所は今はない。フェニックスリーグも呼ばれていない。
他球団では早々にドラフト1位投手が解雇されている。しかも後からプロ入りした者が何人も。
他人事ではなくなった。たまに好投しても信用は薄く即末梢。これが現実。蓄積した実績の結果だ。

過る…

木田勇曰く「ドラフト1位は現役を退いた後こそ大切にしなければいけない肩書き」と。
斎藤は思っているはずだ。「ドラフト1位は現役でも大切にしなければいけない肩書き」だと。
自ら退くわけはない。まだ夢を叶えなければいけない。リベンジの秋がまた始まる。