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ストレッチなしアップなし 練習時間「県内最短」の秘密

鹿島神宮の森に面した清真学園の野球場に午後4時前、制服姿の十数人が駆け込んできた。数分で着替え、1人はバッターボックスに。他の部員は守備につき、マシンを使った打撃練習が始まった。
 15球程度打った打者は、自分の守備位置に猛ダッシュ。すれ違うように、守備についていた選手が全力疾走で打席に入った。部員11人全員が打席に立ち、30分ほどで終了。
全員でネットを片付け、キャッチボールを3分間。全員が守備について5秒間隔でノックし、約20分間で終えた。
 その後、個人練習の時間が約1時間あり、午後6時半に練習が終わった。移動はすべて全力疾走。「練習時間が短いから走り込みの代わりなんです」と久保匡平主将(3年)は言う。練習の前後にストレッチやランニングはしない。
 部員が帰った後。グラウンドではトンボを取り付けた車が走り、グラウンド整備を始めた。運転するのは辻岡敦監督だ。
 「練習時間は恐らく県内で一番短いでしょう」
>技術練習の時間を増やすため、準備運動の時間を削った。体育教諭の辻岡監督には苦渋の決断だったが、徐々に短くし、半年程かけてゼロに。20分間のキャッチボールも少しずつ縮め、今は3分。
練習中にプレーを止めてしていたアドバイスも数年後にはやめ、全体練習が終わってからまとめてやるようにした。
 別の中学で野球をし、高校から同部に入った鈴木尊仁君は「アップをやらないなんてあり得ないと思った」と振り返る。
でも今は「教室から走ってきたり、ノックを待つ間に足首を回したり。意識すればけがは防げる」。昨秋の新チーム発足以来、けが人は1人も出ていない。
 「もっと練習したい、物足りないと思う事もある。でもそれを言い訳にしたくない」と話すのは、エースの生井沢慎之助君。打撃の順番を待つ時間に投球練習をしたり、帰宅後の勉強の休憩時間に筋トレをしたりを繰り返し、球速が10キロ近く伸びた。
短い練習では投げ込みに制約があるが「試合の大事な場面で狙ったところに投げられる集中力がついた。練習の短さはハンデじゃない」と言い切る。
 辻岡監督は「野球はあらゆる準備が必要なスポーツ。時間があればこれも教えられるのに……と申し訳なく思う事もある」と心情を吐露する。