あの人は今  元阪神タイガース外野手 藤川俊介さん(38歳) 2026年、オールスターゲーム。それをテレビで見つめる男がいた。 22歳で将来を嘱望され阪神タイガースへ入団した、藤川俊介さんだ。
「あの頃は若かったですね(笑)」若き日を回想する藤川さんはどこか寂しげだ。 「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。レギュラーを取って、活躍して、オールスターに出場する夢を」
藤川さんはドラフト時に上位指名でなければ内定を受けていた東邦ガスに就職するとしていたが、タイガースが5位で強行指名。
そんな経緯もあり、入団後は優先的に起用されていたが結果を残すことが出来なかった。近本、高山など若手選手の台頭もあり、入団以来一度も規定打席に到達することなく、2019年オフ戦力外通告を受けた。
今は地元福岡でうどん専門店を営む傍ら、地元の少年野球のコーチを勤めている。 店の屋号の文字は元タイガース、上本博紀選手の手によるものだ。
「いらっしゃい」。中洲川端駅東口から歩いて3分。
「うどん 藤川」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると白いタオルを 頭に巻いた藤川俊介さんと5歳上で元ネイリストの妻、裕子さんの元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『藤川』という文字は上本さんに書いて頂いたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった。 おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
藤川さんは本当に嬉しそうに、僕たちに語ってくれた。 とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。 「うどん好きは飛行機に乗って本場・香川県まで食べに出かける時代でしょ。
ボクが修業した高松の老舗『松下製麺所』のうどんはかつお風味の上品なダシが特徴だから、濃い味のうどんが美味しいと信じ込んでる関東人にはモノ足りないようなんです。 それで怒られちゃったこともあるけどそれも修業のうち。我慢、我慢です」
同級生でかつてタイガースの外野の定位置を争った現横浜DeNAの大和外野守備走塁コーチついて尋ねると… 「知ってます?プロ3年目までは僕の方が(通算安打数)上だったんですよ?」と、おどけ 「俺も阪神にさえ入って無ければって…歯がゆいですけど」
「今はもう現役に未練はありません。今度はこの、うどんで日本一になれるよう、 がんばるだけです!」
(写真)たこ焼きを手に持つ藤川さん