東海大九州キャンパスの右腕・小川一平投手は3年前の春、東京・渋谷のスクランブル交差点横で声を張り上げていた。「募金へのご協力、お願いします!」。
入学直後の16年4月、熊本地震で被災。南阿蘇の寮を出ると、目の前のアパートが崩壊していた。「あの光景は忘れられません」

1ヵ月間、大学も休講になった。地元に戻っても「遊ぶ気にもなれないし、練習という感じでも」。知人がやっている募金活動に、関東から進学した5人で参加し2日間、声を張り上げた。
力士が立ち止まった。財布の中身全てを募金箱に入れて「頑張ってね」と励ましてくれた。鳥肌が立つ思いだった。

阿蘇での4年間で、自慢の速球を149キロにまで鍛え上げた。11球団から調査書が届き、ドラフト指名が有力視される段階になっても、渋谷での2日間は忘れられない。
「誰にでも優しくできる人がかっこいい。そうなりたい」と己を磨く毎日だ。