仮に10人選手がいたとすると、岡田監督は“十把ひとからげ”の指導はしない。1人1人の特長をつかみ、それぞれに“処方箋”を出す教え方です。それまではジッと動きを観察し、その選手が必要としているタイミングに、必要なことだけをいう。余計なことは一切しゃべらない。

97年阪神入団時の監督は吉田義男さんで、03年に星野監督、05年岡田監督のもとで優勝を経験できたのは最高の幸せでした。よく当時のことを聞かれますが、僕のターニングポイントはそこではありません。4年目の00年は1、2軍を行ったり来たりで、出場は40試合。「今岡はダメだ、ダメだ」と言われて自信も失いかけたしんどい時期で、クビかもと思い始めました。

ここでやめても、これも人生、とまで弱気になった僕の背中を押してくれたのが2軍の岡田監督でした。「お前ならできる」「お前の思うようにやったらええ」。言葉でいうと、そんなイメージでしょうか。

打撃、守備、走塁の技術論ではない。中途半端だった立場の迷いを消し、再びやる気にさせ、引き上げていただいた。ずーっと、しんどかったけど、死に物狂いになって、今岡は変身しました。

岡田監督1年目の04年、タイプではないのに選手会長も引き受けました。自分をどん底からはい上がらせてくれたこの人を優勝まで引っ張りたい。そう思っていたので、タイトルより恩義に報いることができたことの方がうれしかったです。

今回も監督の下で学びたいという気持ちが強いです。年明けからの指導になりますが、コーチとして選手の能力を見抜く、引き出すことが大切と思っています。ファンのみなさん、期待してください。これまでの経験を生かし、黄金時代を築くための一助になりたいと強く思っています。