>>536
> そういえば、この春のころだったか、ベテランスカウトだった方が、あるアマチュア選手の名前を挙げて「どこがいいんですか?」と真顔で訊かれたことがある。

「上位とか1位候補とか書かれると、本人もまわりもそうなのかな……と思うじゃないですか。励みにして、一生懸命頑張って成長してくれたら、両方にとっていいことだけど、現実はその逆ばかり。オレは上手いって勘違いして、どんどんヘタになっていく」

 数年前までプロ野球スカウトとして活躍されていたこの方の話には、ギクリとした。

 もう誰にも関係ないから、言いたいこと言うけどさ……と前置きして、

「記者が、もっと勉強しないと。スカウト時代、スタンドで見てると、記者が聞きにきましたよ、ずいぶん。自分で評価がわからないから聞きにくるんでしょ。スカウトはこう言ってるって記事ばっかりでしょ、今も。スカウトが本当のこと言うわけないじゃない。後で関わることになったらたいへんだから、お世辞しか言わない。それをまた、そのまま書くでしょ。野球の記者でメシ食ってるんだったら、野球勉強して、自分なりの評価で記事書いてみろって。スカウト、みんなそう思ってますよ。ほんとはね」

 胸の先に、短刀を突きつけられたような思い。記者の端くれとして、襟を正し、正座をして耳を傾けるべき「叱咤」であった。