今季初のG倒を果たしても、岡田監督の表情は晴れなかった。「心境はまあ…、勝ったからね、よかったようなものの、ねえ…。頭の中でずうっとね、完全試合いけたんかなあっていうね。それは残ってますね。ちょっとね、片隅にね」。延長10回の接戦を制したが、大きな決断が裏目に出た。

 8回の攻撃だ。7回まで完全投球を続けた村上に代打を送った。その瞬間、東京ドーム全体から「ええ~っ!」とどよめきが起こった。完全試合でプロ初勝利を飾った投手は過去にいない。大記録がかかっていたが、継投を選択。その裏に2番手石井が同点被弾で、完全リレーはおろか村上のプロ初勝利も消えた。

 長い監督生活でも初めての決断だったが迷いはなかったという。「悩まなかった。完全試合での継投は初めて。あと2点くらいあったらな。いかせたかもわからん。(村上は)6回までいってくれたらいいと思っていた。佐々木朗希やったら投げさせとったけどな。1-0でも。でも、村上じゃ3-0じゃないと。そのへんは違うとこやな」と、苦笑まじりに意図を説明した。

 描いたのは、完全リレーだ。安定感を発揮していた石井を投入し、湯浅で締める。「後ろで完全試合というのはあった。あの1球はもったいなかった。入りは難しい。ブルペンでちょっと変化球がうわずっていたから(直球で)いったみたいだけど。ゲームの流れ的には1発には注意しないと。まあ次のいい教訓にね。石井も今年初めて競った試合を経験してるんでね」。8回先頭の岡本和に打たれ、プランは崩れた。

 それでも10回に近本が決勝タイムリー。「(記録は岩崎だが)チームでの勝ち星は村上よ。初先発で最初から飛ばしていっていた。まあ、7回1死で(丸、梶谷の)左2人のところで左(投手)も準備していた。何とかあそこまでと」とたたえた。

 岡田監督にとって、阪神では15年ぶりのG戦勝利となった。阪神監督としては通算400勝に王手。「今日は何とか勝ちたかった。(打線が打てず)ずっとこういう展開が続いているけど、どこかで爆発してほしい。それは明日期待しますよ」。苦い勝利をかみしめ、宿敵に勝ち越す。