「引きこもり」家庭で孤独死した男は生を求めていた
https://news.yahoo.co.jp/articles/89477d35ebc981142cd533321eac87b8a56acd5a
ETV特集「空蝉(うつせみ)の家▽ひきこもり死・家族の記憶」(12月18日、NHK+配信終了:12月25日23:59)は、30年以上にわたって、引きこもり生活を送り、2018年12月に56歳の若さで孤独死した、男性とその家族を追ったドキュメンタリーの佳作である。

内閣府が一昨年、40歳から64歳の成人の中高年の引きこもりが、61万人と推定した。70歳代の親が40歳代の引きこもりの子どもを養っている「7040」問題と、80歳代の親が50歳代の引きこもりの子どもと暮らしている「8050」問題は、いまでは一般的に知られるようになった。
親の世代の高齢化によって「9060」問題につながる未来は現実である。

メモから見える生前の姿

今回のドキュメンタリーは、神奈川県横須賀市の海に近い戸建てのなかで、栄養失調のために衰弱した56歳の伸一さんとその家族を冷静な取材とカメラによってとらえた。

伸一さんの死の1カ月前ほどから、市の福祉担当者が熱心に伸一さんの家を訪ねていた。「病院に一緒に行こう」と勧めた。食べ物を持っていって「栄養失調ではこのまま死んでしまうよ」と、励ましもした。

伸一さんは、髪も髭も伸ばし放題の姿で、市の担当者の前に現れた。その言葉はしっかりとした信条を感じさせる。

「いままで食パンだけを食べてきたので、(いただいた食品は)ぜいたくに思える。もうちょっと(自分で)頑張ってみる」「自分でやってみたい。もう少し時間をください」「父から、経済が安定しないと病気になる、といわれていた。なるべく健康を回復して、職につきたい」

生きようとしていた証も

 伸一さんは、「ゴミ屋敷」と化した自宅の床で、ゴミにうずもれるようにした状態で発見された。そのわきに、NHKの英語のテキスト、しかも死の前年の「2017年」と記されていた。
最後まで、英語を使った仕事に就く夢を捨てなかったのだろうか。