>>163
放課後学校の廊下曲がり角にて、
宗教界一のアイドル、麻原彰晃が何者かと激突する。
ちょうどおでことおでこが
玉突きのようにカチンとぶつかった。

イテテ……目が回るー。
尻餅をつき、目の前がくらくら揺れる。
しかし、こんなところでじっとしているわけには
行かない。何せ不法侵入しているのだから。
姿を見られるまえに早く逃げなければ。
目線を少し遠くに移し、ぶつかってきた相手を
チラリと見る。そこにはもう一人の自分がいた。

驚くまでもない、いつもの幽体離脱だ。

「えっ、嘘っ、なんで……」

今何かが聞こえた。音の発生源は肉体の方だ。
脱け殻が喋った?……
そんなはずはない、気のせいだ。

早急に向かわなくてはならないのは女子更衣室だ。
部活が終わり女子生徒が着替えに戻るまでが
タイムリミット。なんとしてでも間に合わせなければ。

そう思ったのもつかの間、鼻が曲がるような臭気、
いや邪気を感じる。何かが腹の底から込み上げてくる。

「ウッッッ、オェェェェッ、ゥヴォエ〜〜〜」

吐きそうになり思わず両手で口を抑えた。
手で口を抑える……?
少し考え込んだのも束の間、なんと、
自分の脱け殻が勝手に動き出し、
こちらに手を伸ばしてくる。
邪気の発生源がそれであることは明確だった。

この最終解脱者、麻原彰晃が
ヴァジラヤーナの教えに従いポアしてやろう。
しかし、脱け殻の手が触れるか触れないか
すんでのところ、心臓がバクバク暴れだし、
目の前が真っ白になった。
そしてクンダリーニが覚醒した。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!、
触らないでぇぇぇ!!!!!」

少女の声が廊下に響き渡る。
いつもの自分の声とは違う。
なにせ今は霊体なのだから……

しかし、今そんなことはどうでもいい。
隙を見て踵を返しクラウチングスタート。
心臓をバクバクさせながらも、とにかく
全速力で走る。走る……?なぜ……?
なぜ、瞬間移動ができない?
なぜ、空中浮遊ができない?

この時麻原は不可解な現実に直面するのであった。