>>353
ところが、ここからが重要です。

記事の論述には、二つのまったく別の問題があります。

第一の問題は「破壊的カルトとは何を意味するのか」。第二の問題は「張在亨氏の共同体が、その意味での破壊的カルトに該当するのか」。

西田氏の研究が直接支えるのは第一の問題です。

仮に、

「犯罪を起こしていなくても、虚偽・欺瞞、自由の制限、支配・隷属などが存在するなら『破壊的カルト』と評価し得る」

という定義を採用したとしても、次には当然、

では張氏の共同体に「虚偽と欺瞞」「入脱会の自由の剥奪」「支配・隷属関係」「公共の利益や福祉への脅威」が実際に存在したのか

を証拠によって一項目ずつ立証しなければなりません。

西田氏が「破壊的カルト」という概念を使用していることは、張氏の共同体についての事実認定ではありません。

ここはこの記事を読むうえで最も注意すべきところだと思います。

しかも「カルト」「マインド・コントロール」という概念そのものについても、研究者間で完全に一致した定義が存在するわけではありません。たとえば宗教社会学者の櫻井義秀氏は、マインド・コントロール論について、その前提となる「破壊的カルト」というカテゴリー自体が価値中立的な認識ではなく、宗教集団の多面性を理解するうえで問題を持つことを論じています。