>>362
2.今からリ・ジヨン氏を刑事処罰できるか

ここはかなり難しいと思います。

最大の理由は時間の経過です。問題となっているのは2007年6月、つまり約19年前の出来事です。

仮に入管法上の何らかの犯罪が成立するとしても、刑事事件では公訴時効があります。具体的にどの条文のどの犯罪が成立し得たかによって時効期間は異なりますが、2007年の単発的な入国行為について、2026年になって初めて通常の刑事訴追を行うことは、一般的には公訴時効の点から極めて困難です。

しかも、今回の高裁判決は民事事件です。

裁判所が判断したのは、根田氏らが拡散した表現について名誉毀損上の真実性などが認められるかという文脈です。「出入国管理上、問題視され得る」という民事判決の認定を、そのまま刑事裁判に持っていって「犯罪が確定した」とすることはできません。

3.さらに、リ氏本人の故意を証明する必要がある

ここも重要です。

確認書を作成したのは記事の記述によればCT側です。高裁が認定したのも、

「原告は……文書を交付し……便宜を図った」

というCT側の行為です。

リ氏本人を処罰するには、単に「リ氏のために虚偽記載のある書類が作られた」だけでは足りません。

たとえば、リ氏自身が、

「福岡支局が実在しないことを知っていた」
「会議がその場所で開催されないことを知っていた」
「それでも入国審査を通過するため、この虚偽文書を利用することに同意した」

といった事情まで、適用する犯罪の構成要件に応じて証明する必要があります。

今回確認できた高裁判決の記述だけから、そこまでリ氏本人について認定されたとは読めません。