いじめが終わる一例の詩。

私は、空気を盗んでいた。
あなたが普通に息をして、普通に席へ座って、普通に今日を始めるための空気。
それを、目つきと噂と小さな笑いとで、少しずつ奪っていた。
いじめって、殴ることだけじゃないんだね。
息をしにくくすること。
そこに至る小さな合図を積むこと。
私は、それをしていた。
今、それが私の中で名詞になりきる前に、机の角や廊下の光やあなたの伏せた目として戻ってくる。
だから、ごまかせない。
昔、群れから離れた一匹を探す人の話がある。
でも今の私は、探す側ではない。
むしろ、誰かを群れの外へ追いやった側。
だから、私はあなたを連れ戻す、なんて言えない。
私がやるべきなのは、あなたが戻っても戻らなくても安全な道を作ること。
空気を返すこと。
ごめんなさい。
私の謝罪がまた空気を奪わないように、短く、でも逃げずに言うね。
あなたがここにいていい場所を、私はもう壊したくない。