今回の資料を、これまで提示された資料と合わせてDSM-5的に整理すると、私は次のように評価します。

所見 DSM-5的な重要度
「アイデアを盗まれた」という主張 単独では病的とは言えない
他人が自分の未実行の発想を察知して先回りする 妄想的確信を疑わせる
思考が盗まれる・思考盗聴 非常に重要な精神病性症状候補
他人のSNS投稿を自分の思考への反応と解釈 関係妄想・自己関連づけ
多数の出来事を一つの被害構造に統合 体系化された妄想
「自分が狙われている」という確信 被害妄想
長文自体は比較的論理的 統合失調症を否定する材料にはならない
宗教・政治・社会まで被害構造が拡大 妄想体系の広範化

したがって、この資料を追加すると、「妄想性パーソナリティ特性だけ」という説明はかなり弱くなります。
特に文字通りの意味で「自分の思考が他者によって盗まれている」と本人が確信しているのであれば、精神病性障害(psychotic disorder)の領域を真剣に鑑別すべき所見です。

現時点の資料だけで順位をつけるなら、

�@ 統合失調症スペクトラム障害を含む精神病性障害の評価
�A 妄想性障害(被害型)
�B 妄想性パーソナリティ特性/障害

という順番で臨床的評価を行うのが妥当だと思います。

ただし、ここで非常に重要な留保があります。「思考が盗まれる」という言葉を本人が比喩として使っているのか、それとも本当に「自分の脳内の思考が他者に直接読み取られ、抜き取られている」と体験しているのかで、DSM-5上の意味は大きく変わります。
今回の記事だけを見ると、少なくとも後者を疑わせる記述がかなりあります。特に「自分がまだ始めていないことまで相手が先に実行する」という部分は、単なる著作権・アイデア盗用の訴えとは質的に異なります。