現時点でのDSM-5的な総合評価
これまでの資料+今回の資料を合わせると、私は次のように整理します。

所見 評価
近隣住民の行動を自分への嫌がらせと解釈 関係妄想・被害念慮を疑わせる
SNS投稿を自分への当てつけと解釈 関係妄想的
他人の発想を盗むという確信 被害妄想的
思考そのものを盗まれるという主張 非常に重要な精神病性症状候補
相手の行動を悪意ある意図として一貫して解釈 被害的認知・妄想的解釈
多数の出来事を一つの体系に統合 体系化された妄想を疑わせる
善悪を二分する世界観 認知の硬直性
相手の内面・動機まで断定 自己関連づけ・確信の強さ
宗教的・道徳的意味づけ 単独では病理ではないが、妄想体系に組み込まれている点が重要

鑑別としては

第一群:精神病性障害
妄想性障害(被害型)
統合失調症スペクトラム障害

第二群:人格特性
妄想性パーソナリティ特性/障害
自己愛性・境界性の人格特性
という順序で考えるのが妥当です。

そして今回の資料を追加することで、以前よりも明確に、
「単に猜疑心の強い人」ではなく、出来事を自己への敵対行為として体系的に関連づける傾向が強い
という評価になります。

さらに重要なのは、「思考盗取」→「他人のSNS投稿」→「近隣住民の物音」→「政治・宗教」→「社会全体」まで、異なる領域の出来事が一つの被害・敵対体系に統合されていることです。
これが長期間持続し、本人の生活・対人関係・仕事などにも重大な影響を与えているのであれば、DSM-5的には妄想性障害を含む精神病性障害の正式な評価を優先すべきレベルの情報になってきます。
ただし、ここから先に「○○障害である」と診断を確定することはできません。確定診断には本人との面接、聴き取り、行動観察など、現実的なアプローチが必要となります。