しかし,翼上下の流れの同時到着みたいな嘘を最初に考え出したのは誰なんだろうな.
そのせいで「飛行機が飛ぶのはベルヌーイの定理で説明できる」という都市伝説が生まれてしまった.

ベルヌーイの定理でできるのは,翼周りの流速分布が与えられている場合に圧力分布を計算することだけ.
理由を説明するものではない.

蛇口から適量の水を流してスプーンの柄を沿うようにして外側(背側)に流すと,スプーンは背側に持ち上がる.
この時スプーンの先端をよく観察すると,水の流れは内側(腹側)に曲げられている.
曲がった水流の勢いでスプーンは背側に持ち上がる.
翼の揚力もこれと同じ.

ベルヌーイの定理で説明すると
「理由は知らぬがカーブすると流速が増す.だからベルヌーイの定理により圧力が減り,背側に引き寄せられる」
このような感じだろう.
でも,これでは次の現象を説明できない.
スプーンの位置を少し変えて,柄を沿わせて内側に水を流してもスプーンは背側に持ち上がる.
これも先端からの水流が背側から離れるように曲がっているので簡単に説明がつく.
しかし「ベルヌーイの定理」を適用すると,圧力の低い腹側に持ち上がることになり,説明にならない.