【生物】昆虫は痛みを感じているか? ゴキブリに鎮痛薬を投与すると電気刺激に対する反応が低下
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昆虫脳内のニューロンの集積密度の高さは目を見張るものがあるが、脳サイズは数ミリ程度しかない。
ニューロンの数はせいぜい100万個程度であり、ヒトの約10万分の1以下となる。昆虫は絶対的な情報処理量に
限界があるため、必要な情報に特化して効率よく情報処理を進めていく必要がある。

北海道大学の水波誠教授は、ヒトをはじめとする哺乳動物の巨大な脳に対し、
昆虫の脳を「微小脳」と呼んだ。微小脳は容量が小さいため、匂いや熱や光といった感覚刺激のうち
少数の刺激だけが抽出され、脳に必要な情報だけを伝達する傾向が強いという。一方、ヒトのような
巨大脳は、容量の多さを活かして、感覚情報を脳に集中させ、膨大な情報を精密に処理する。

これに則れば、「昆虫は痛みの刺激を受けとったとしても、その刺激はふるいにかけられ、
脳で処理されていない」と考えることも可能である。つまり、ショウジョウバエの
熱や圧力刺激に対する逃避行動は、我々が沸騰中のやかんに触れて思わず手を引っ込めるような、
脳を介さない「反射」である可能性も考えられるのだ。

昆虫は痛みの刺激を的確に受け取るだけでなく、その刺激を行動と結びつける能力もある。
ショウジョウバエは、電気刺激を学習し明らかな回避行動を示すほか、ゴキブリにおいては
鎮痛薬を投与すると電気刺激に対する反応が低下したとの報告がある。

一般に痛みを感じる動物は、将来の危険回避のために痛みを学習し、行動を修正していくと考えられている。
実験結果からは昆虫も痛みを感じる動物と同様の振る舞いをしているといえる。しかし、実験結果は
昆虫が「痛いと感じる」「苦しむ」といった感情を持つことを直接示したことにはならない。

昆虫の感情を実験でどのように証明していくか。
科学のメスを入れるには、昆虫の脳神経科学のさらなる発展が必要なようだ。(以下省略)