もしかしてこの2人の勝利?


新井紀子
シンギュラリティに到達すれば全員が平等になれます。
AIがあらゆる仕事を担い、人間は恋をしてダンスをして詩を作って暮らしましょう、
というユートピアが訪れるというわけですが、私はそうはならないと予測しています。
労働から解放された人間にはベーシックインカムを、と話す人もいますが、そんな状況が訪れるわけがない。
そう思うのは、機械が意味を理解できない、ということがわかったからです。

西垣通
頭を冷やして考えてみましょう。私は、シンギュラリティ予測は外れると考えています。
まず、カーツワイルの主張は人間の知力を単純にとらえすぎています。計算能力だけなら、とっくの昔から人間はコンピュータには敵いません。
でも人間の知力は多様で、経済理論をつくったり、政治哲学を論じたり、恋愛小説をつくったり、絵を描いたりします。集積密度の増大カーブだけで比較できるはずはありません。
さらに、意識をもつコンピュータなど、まだ存在しないし、今後うまれる見通しもありません。そもそも意識とは何かさえ、よく分かっていないのです。だからシンギュラリティ予測など、
神様のかわりに人工知能を超越者と見なす、一神教的な妄想にすぎないのではないでしょうか。