>>502のつづき)

 こうして, e^4 が無理数であることが分かった;
e^3 や e^5 などが同様に無理数であることを示すためには
より重たい機械類(つまり, ほんの少しの微積分)と新しいアイデアが必要である―そのためには
Charles Hermiteに立ち返る必要があるが, その鍵となるものが次の簡単な補題に隠されている.
【補題】 n >= 1として, f(x) = x^n (1 - x)^n / n! とおく.
 (i) f(x) = 1/n! Σ[i = n, 2n] ci[i] x^i, (ただし, 定数 c[i] は整数)である.
 (ii) 0 < x < 1 に対して, 0 < f(x) < 1/n! である.
 (iii)導関数 f^{k}(0) および f^{k}(1) はすべての k >= 0 に対して整数である.
(中略)
【定理1】 e^r はすべての r ∈ Q - {0} に対して無理数である.
【証明】 正の整数 s について, e^s が有理数でないことを言えば十分である.(中略).
e^s = a/b (ただし, 整数 a, b > 0)として, n をn! > a s^(2n + 1) となるように十分大きくとる.
 F(x) := s^(2n) f(x) - s^(2n - 1) f^{1}(x) + s^(2n - 2) f^{2}(x) - ... + f^{2n}(x) とおく.
(ただし, f(x) は上の補題の関数とする)
(中略)
 N := b ∫[0, 1] s^(2n + 1) e^(s x) f(x) dx = b [e^(s n) F(x)] [0, 1] = a F(1) - b F(0) とおく.
これは整数である, なぜなら補題の(iii)より F(0) と F(1) が整数だからである. しかしながら,
補題の(ii)より, N の大きさを下と上から推定すると,
0 < N = b ∫[0, 1] s^(2n + 1) e^(s x) f(x) dx < b s^(2n + 1) e^s 1/n! = a s^(2n + 1) / n! < 1
したがって, N は整数ではありえない: これは矛盾である.                    □