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つづき

 関数の微分可能性と曲線の接線が密接に連携しているのは当然のことで、だからこそ(f(x+h)-f(x))/hという形の商を作るのですが、デデキントは幾何学的なイメージが表に出ないように心がけているように思います。その理由は厳密性の要請にあり、「無限小解析の原理の純粋に数論的な全く厳密な基礎」を見つけたいというのがデデキントの願いでした。

 数列の収束ということを語るのであれば、極限値、すなわち数列がどこまでも近づいていく一個の数の存在を想定しなければなりませんが、これを証明するには「数」というものの実体が明らかになっていなければなりません。
「単調に増大する有界数列は収束する」という命題は、もし「その本来の起原を数論の基礎知識のうちに発見し、それと同時に連続性の本質についての真の定義を獲得」(同上)することができたなら、微積分にとって十分な基礎であることを、デデキントは確信するにいたりました。
デデキントがこの思索を始めたのは1858年の秋のことですが、同年11月24日に成功し、その数日後に、熟考の結果を親友のデュレージに打ち明けました。「永い活発な会話を引き起こした」(同上)ということです。
デデキントは1831年10月6日にガウスと同じブラウンシュヴァイクに生れた人ですから、微積分の基礎を発見したという確信を抱いたのは満27歳になってまもないときのことでした。

(引用終り)