>>285 つづき

1.2 幾つかの例
測度の例を幾つか挙げる.大抵の非自明な測度は,情報のすべてを明示的に書き下すことは期待
できず,普通は5 節で論じる構成定理を通じて,存在を保証したり間接的に情報を得るのみである
ことに注意する.以下の例のうち最初の3 つは,すべての可測集合の測度を具体的に与えていると
いう意味で大変単純なものである.

1.2.1 数え上げ測度
(X, M) を任意の可測空間とする.A 2 Mに対して,μ(A) を集合A の元の個数(∈ N∪{0,+∞})
と定めると,μ は(X, M) 上の測度となる.μ を数え上げ測度(counting measure) という.

1.2.2 可算集合上の測度
X を高々可算集合,M = 2^X とし,φ をX 上の[0,+1]-値関数とする.A ∈ Mに対し,
μ(A) =Σx∈A φ(x) と定めると,μ は(X, M) 上の測度である.
・ 問. 高々可算集合X とM= 2^X に対して,(X, M) 上の測度はこのようなものに限られることを示せ.

1.2.3 Dirac 測度


1.2.4 1 次元Lebesgue 測度
X = R とし,F= {(a, b], -∞ <= a <= b <= +∞の形の集合の有限和の全体} とおく.
・ 問. Fは有限加法族であることを示せ.

注意. 上記で,半開区間(a, b] を基準に測度を構成するのは一見不自然に見えるかもしれない.
閉区間の有限和全体は有限加法族にならず,閉区間をすべて含むような有限加法族
はFを含むので(確認せよ),結局最初からFを考えた方が話が早い.「空間R を分割する」とい
う見地に立てば,区間の端点の片方のみ含む集合(半開区間)を基礎とすることは自然であると考
えることもできる.右端点を含んでいるというのは全く便宜上のことであり,代わりに[a, b) の形
の半開区間を用いても構わない.
数学的には対等なのでどちらを選択しても本質的な違
いはないが,(a, b] の方を用いるのが多数派のようである.

つづく