上記のαとβはともに、ペアノシステム(X,s,f)の中での通常の「足し算の演算」であると解釈できる。
注意すべきは、X の中に予め「加法」が存在している必要は無いということである。
ペアノシステム(X,s,f)がありさえすれば、そのシステムから上記の演算α,βが構成できるのである。

また、αとβは、結合法則と交換法則を満たすことが証明できる。すなわち、(X,α)と(X,β)は、
ともに可換な半群となる。さらに、(X,β)は可換な単位的半群であり、単位元は s である。
また、(X,α) には単位元は存在しない。従って、

・ s は (X,β) の中でゼロの役割をする。
・ s は (X,α) の中でゼロの役割をしない。

言い換えれば、同じ s という元が、演算の取り方によってゼロの役割をしたり、しなかったりする。
すなわち、ペアノの公理系で宣言される s は、ペアノの公理系だけでは、
ゼロの役割をするともしないとも指定されない。

つまり、s にゼロの役割を与えるか否かは、単なる流儀の違いに過ぎない。