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つづき


順序数の理論は非常に簡明ですので,Cantor は基数の理論をこれに帰着させたい,と考えました.この要
求の結果として出て来たのが,今日では選択公理と同値である事で有名な次の整列定理です.

定理 2 (整列定理). 任意の集合について,その上の整列順序が存在する.
さて,全単射が存在するなら,二つの集合の濃度は等しいといっていいだろう,というのが Cantor の着想
でした.順序数を用いれば,以下のようにして濃度の等しい集合の代表元としての基数を定義出来ます:


Godel はこの L が ZFC + GCH のモデルになっていることを示し
ました.しかし,ここでアレ?と思った人が出て来たかもしれません.なぜな
ら,Godel の不完全性定理により「ZF から ZF の無矛盾性は示せない」はず
なのに,ここでは ZF の下で ZF + AC + GCH のモデルを構成したことになっています.ZF より大きな理論
が無矛盾なんですから,結局そこから ZF の無矛盾性が出て来る筈で,となると結局 ZF から ZF 自身の無矛
盾性を示してしまったように見えます.
実は,実際に Godel が示したことは,「この L を 外側(メタレベル)から眺めると,あたかも ZFC + GCH のモデルであ
るかのように見える」ということです.より厳密には,次のメタ定理を示したのです:

Cohen はこんにち強制法と呼ばれる手法を編み出し,この定理を証明しました.Godel の L が宇宙 V を内
側に削っていくものであったのに対し,強制法は逆に V を外側へと拡張していくもので,有理数体 Q に超越
数 α を添加した Q(α) を考えるようなものです.
Cohen は,集合論の宇宙 V をとって,その外側から新たな実数を アレフ2 個付け加えることによって連続体仮
説を破ったのです.
しかし,厳密には V の「外側」の元など存在しません.ではどのようにこれを実現したのかといえば,集合
の概念を,所属確率付きの集合に拡張する,というのが強制法の核となる考え方です.確率といっても,実数
値の確率ではなく,付け加えたい元の近似条件をその代わりに用います.より詳しく,添加したい「理想元」
を自由度で並べた擬順序集合を用います:

つづく