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つづき


3 実数の集合論 測度の問題を例に
この分野から特に測度の問題について採り上げたいと思います.
Lebesgue 測度は解析学や関数解析で重要な概念ですが,よく知られているように,選択公理の下では非可
測な集合が存在することは良く知られています.
定理 12 (Vitali). R/Q の完全代表系は Lebesgue 非可測である.
この証明は,次のように行われます:
(1) 選択公理を使って R/Q の完全代表系 S を取る.
(2) S が可測だとすると,零集合となる事を示す.
(3) 一方,R は S の可算個の平行移動で覆える.
(4) よって Lebesgue 測度の平行移動不変性から μ(R) = 0 となり矛盾.
この証明を眺めていて,以下のような疑問が沸いてきます:
(A) 平行移動不変性を外せば,全ての部分集合に測度を定義出来ないか?
(B) 選択公理を使って作られる集合は具体的に書き下せない.では,具体的に論理式で定義される集合は,
どの程度複雑な集合までなら可測であり得るか?
(C) 完全代表系は取れないが,測度論の初歩くらいなら展開出来る程度に選択公理を弱めたらどうか?
それぞれ,順に見ていきましょう.


実は,射影集合よりも広く,順序数の可算列を使って定義出来る集合も V [G] では全て Lebesgue 可測とな
ります.つまり,「定義可能な集合」のほとんどを可測とするには,せいぜい到達不能基数があれば十分とい
う訳です(参照:不完全性定理).歴史的には,Solovay はこの到達不能基数の仮定を落とせると考えていたの
ですが,10 年後に Shelah が上記の定理によって落とせない事を示した,というのが順番になります.


(C)「選択公理を弱めたら任意の集合を Lebesgue 可測にできるか?」という問
題も,「到達不能基数の無矛盾性を認めるなら出来る」という答えが得られたことになります.

つづく