http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/~m-mat/TEACH/hosoku1.pdf
代数曲線に触れる:補足 松本 眞 広島大学理学部数学科 平成 21 年 12 月 2 日
目 次
1 局所環 1
2 ネーター環 4
3 近代的代数幾何(空間概念とスキーム論) 5
3.1 アフィンスキーム:集合から関数環へ . . . . . . . . . . . 6
4 層 10
4.1 カテゴリー(圏) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10

3 近代的代数幾何(空間概念とスキーム論)

19世紀的な幾何においては、多
様体は「局所的に、標準的なものと同一視される位相空間」であった。す
なわち、「集合に、付加的な情報が追加されたもの」を部品として組み立
てられたもの、なのである。
それに対し、Grothendieck や米田信夫らの発想は、「関係こそが実在
(関数環や準同型がものの存在の実態)」というあらたな哲学を切り開い
たと言える。

その一つの表れには、カテゴリー論:対象と射によって、事物をとら
えて研究するという哲学がある。
またそれとは別のレベルとして、「環を所与のものとして、それを関数
とみなすべき空間を作ろう」というスキーム論がある。

3.1 アフィンスキーム:集合から関数環へ
定義 3.1. 単位的可換環 A に対して、付随する位相空間 SpecA を以下の
ように定義する。SpecA は、点集合としては A の素イデアルの集合であ
る。(スペクトラムといい、日本語では光符ということもある。美しくか
つ実態をあらわした用語と思う。)


定義 3.6. A を可換環とする。SpecA の関数環とは、A のことである。A
の元を、「SpecA 上の正則関数」(regular function) と言うが、定義上は
ちっとも「関数」にはなっていない。
すなわち、スキーム論では、「関数」は通常の「集合から集合への写像」
を意味しない。
定義 3.7. 環 A と位相空間 SpecA を組にして考えたものをアフィンス
キームという。が、記号としては SpecA であらわす。位相空間 SpecA の
ことは、「SpecA の台集合 (underlying set)」と呼ぶことが多い。


4 層
4.1 カテゴリー(圏)
定義 4.1. カテゴリー C とは、材料として次が与えられていて:すなわち

つづく