>>567

つづき

科学技術政策におけるもう1つの失策は、AIやデータサイエンスといった研究領域と、製造業など既存産業との連携を図る施策で、海外に出遅れた点だ。

米政府は1980年ごろから、AIやデータ分析を含むコンピューターサイエンスの重要性を提唱。この結果、多くの米大学が電気工学科などを縮小し、コンピューターサイエンスの学部を立ち上げた。日本は遅れること10年、90年代後半からコンピューターサイエンスの拡充に乗り出した。

だが当の米政府は07年に方針を転換した。中国やインドの大学がコンピューターサイエンスの人材を大量に育成し、従来のままでは競争力は維持できないと分析。機械、法律、医療などと組み合わせ、複合領域で専門を持つ人材を育成すべきだと提言した。これが後に、あらゆるモノがネットにつながるIoTや自動運転、医療AIなど新たな産業領域を生み出すきっかけとなった。

一方、日本は「コンピューターサイエンスが専門分野に閉じ過ぎている」と複数の大学関係者が指摘する。複数の分野を専攻するダブルメジャーなどを通じた、他の産業との連携にたけた人材の育成ができていないというわけだ。

メルカリのAI戦略を担う木村俊也エンジニアリングディレクターは、世間が認識するAI人材と、現実に不足している人材にズレがあると指摘する。「AI技術そのものよりも、AIに学習させる実データがどこにあるか、AIをプロダクトにどう落とし込めるかを担える人材が実は不足している。そうした人材を積極的に採用したい」(木村氏)。

つづく