>>357

つづき

オイラーやベルヌーイ家の活躍した時代の解析学においては,式と関数の区別はハッキリしない.
関数とは,「独立変数の式」であった.

フーリエ(Joseph B.Fourier) は熱伝導現象の数学的解析を通じてフーリエ級数のアイデアを得た.
区間[-π,π] で定義された"任意"の関数f (x) について,三角級数展開が可能(であるはず) だと, フーリエは論じた.

フーリエの論文を審査したラグランジュらは, 彼の議論の正当性に疑問を呈した.
フーリエの主張を確立するには, 無限級数の項別積分ができねばならない.
その保証がないばかりか, そもそも”任意の関数の積分" が何を意味するのかも, 当時は明らかでなかった.

コーシーの定積分は連続関数に対してはうまく機能したが,
フーリエ級数を扱うために必要とされた”任意の関数" を相手にするには(概念がガバガバで) 十分ではない.

現代的な「対応」としての関数概念が全面的に採用されるのは,
ディリクレ(J.P.G.Lejeune Dirichlet) 以後のこと.
ディリクレの関数概念
変数y が変数x に関連づけられていて, x の数値が与えられるたび
に, それに対するy の値がただひととおりに決まる仕組みがあるな
ら, y は独立変数x の関数である, と言われる.
この関数概念にもとづいて, ディリクレは初めて, ”任意の関数" が
どんな条件を満たせばフーリエ級数であらわされるか, という問題
についての(部分的な) 解答を得た.
(『任意の関数を表示する三角級数の収束について』1829 年)

つづく