https://diamond.jp/articles/-/243567
「九九」を暗記させて、電卓の自由な使用を禁止しているままでは、日本の数学の学力はあがらない 永野裕之 DIAMOND 2020.7.19 4:30
(抜粋)
 天才数学者たちの知性の煌めき、絵画や音楽などの背景にある芸術性、AIやビッグデータを支える有用性…。とても美しくて、あまりにも深遠で、ものすごく役に立つ学問である数学の魅力を、身近な話題を導入に、語りかけるような文章、丁寧な説明で解き明かす数学エッセイ『とてつもない数学』が6月4日に発刊。発売4日で1万部の大増刷となっている。
 教育系YouTuberヨビノリたくみ氏から「色々な角度から『数学の美しさ』を実感できる一冊!!」と絶賛されたその内容の一部を紹介します。連載のバックナンバーはこちらから。

九九を暗記する国は少ない
 日本では小学校2年生のときに九九を勉強する。九九の暗記は算数の最初の壁だと言ってもいいかもしれない。

 リズムと語呂合わせを利用して「いんいちがいち、いんにがに……」と覚えた記憶が誰しもあるだろう。しかし、1×1から9×9までを強制的に暗記させる国は、世界的に見ると決して多くない。

 たとえば英語圏の多くの国では、12×12までの掛け算がまとめられたタイムズテーブル(times table)と呼ばれる表を確認しながら掛け算を勉強する。

 timesというのは「掛ける」という意味である。アメリカやオーストラリアなどでは、この表を何度も使っているうちに自然と覚えてもらえればそれでいい、というスタンスらしい。

電卓を禁止する日本
 多くの諸外国で「九九の暗記」を強制しないのは、中学に上がれば電卓を自由に使えるようになるという事情も関係しているかもしれない。

 アムステルダムに本部を置く国際教育到達度評価学会(IEA)が行った国際学力調査「TIMSS 2015」を見ると、各国の教員に「算数・数学の授業で電卓を使わせるか」と尋ねたアンケートの結果が載っている。

 小学校4年生の段階では、日本も含めてほとんどの国が自由には使わせていないのだが、中学2年生になると、電卓を自由に使わせる国が途端に増える。

つづく