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つづき

5 Donaldson 理論

ここで,Donaldson 理論についてほんのすこしだけ説明し
ます。簡単のため,X を単連結な実 4 次元可微分多様体,MX
を X に付随したある空間の反自己双対接続 (一般化された微
分,これをインスタントンと呼ぶ) のモジュライ空間としま
す。モジュライ空間というのは,この場合はインスタントン
を全部集めた空間のことです。A ∈ MX をひとつのインスタ
ントン,A + α をその近くのインスタントンとしたとき,α
は微分方程式
DA+(α)+[α, α]+ = 0
を満たします。 こうして,MX は局所的には,複素構造の
変形空間によく似た形の微分方程式で記述されます。AtiyahSinger-Hitchen は,(小平-Spencer-) 倉西による変形空間の
研究の方法を適用して,MX の研究を始めました。その後

Taubes,Uhlenbeck らの結果を用いて,Donaldson は MX の
構造を解明し,多くの重要な結果を導き,さらに Donaldson
多項式と呼ばれる可微分多様体の新しい不変量を発見しまし
た。もしふたつの単連結な実 4 次元可微分多様体 X,X の
Donaldson 多項式が異なれば,X,X は (向き付けを保って)
可微分同相にはなりません。この不変量はホモトピー K3 曲面
をはじめ多くの複素曲面に適用されて,興味深い結果が証明さ
れました。定理 9 のタイプの最初の重要な応用は Donaldson
によりますが,本稿の話題とずれるので,割愛します。

小平先生のご冥福をお祈りしつつ,筆をおきます。

つづく