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つづき

https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~nakamura/susemi0006.pdf
モジュライと変形理論, 数学の楽しみ, no.20, 2000年8月 (PDF FILE)

P17
小平-Spencer の変形理論とは何か? 3 次曲線の場合に考えてみる。まず 3
次曲線をひとつとる:

前節と同様に微少変形のコホモロジー群を調べればよい。
答えを同次式によって表示すると、(17) と同様に記号の意味をとることで
すべての同次 3 次式/(xi∂H/∂xj )i,j=0,1,2 (20)
となる。これは 1 次元である。(20) を代表するどんな元 h をとっても、
H + sh = 0 (21)
はE の微少変形の可能性を尽くす。小平-Spencer の一般論は、3 次曲線の場
合このようになる。代数多様体がひとつの同次式で定義される場合で、その
変形理論が例外的なのは唯一 4 次曲面で、このときは、4 次式の枠をはみ出
してしまい、(神様でも) 変形を具体的に書くことはできない。これ以外の場
合には、微少変形は(19) (20) と (21) の類似物で与えられる。

7 変形理論
以上説明したことをもう一度別の言葉で整理すると、変形理論とは局所的
なモジュライ理論のことである。したがって良いモジュライ理論があるため
には、つまりよいモジュライ空間が存在するためには、良い変形理論がなけ
ればならない。代数曲線、アーベル多様体、K3 曲面のモジュライ理論が進ん
でいるのも、これらの場合には良い変形理論があるからである。
現代数学の主要な方法論の一つは、大域的なものを局所的なもののつなぎ
合わせとして理解するということである。その意味でモジュライ理論を理解
するためには変形理論が基礎となる。
モジュライ理論が一番都合よく進められる場合は、モジュライ空間が特異
点を持たない場合である。この場合はモジュライ空間は局所的に一次近似に
よって理解できる。このとき、その局所的な一次近似は、微少変形を記述す
るコホモロジー群であると考えてよい。

つづく