星裕一の論文
宇宙際 Teichmuller 理論入門 PDF (2019) (Indexあり)https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/244783
(抜粋)
P177
§ 27. まとめ
最後に, 本稿で行われた議論を, 後半で説明した “Hodge 劇場の構成” の観点からまとめて, 本稿を終えましょう:
・ ある Diophantus 幾何学的定理 (§4 の冒頭で述べた主張を参照) を証明するためには,
(a) 対数殻
(b) 楕円曲線の q パラメータの (1 より大きい) ある有理数による巾
(c) 数体
という 3 つの対象の (ある適切な設定における) 多輻的な表示 の存在を証明すれば充分である.
(§4 から §8 の議論や §12 の議論の一部を参照.)
・ (b) と (c) の多輻的な表示を得るためには, 正則構造から単解構造への移行によって生じる不定性から,
(b) と (c) を防護/隔離しなければならない.
そのために, (b) と (c)を, “ただの数” としてではなく “ある適切な関数の特殊値” として扱う.
そのような関数として, (b) に対してテータ関数, (c) に対して “k 系関数” が用いられる.
(§11 の議論を参照.)
・ テータ関数に代入するべき点たちの内, 我々の議論において重要となるものは,
LabCusp±K〜= Fl という集合の元たちで自然にラベル付けされる. j ∈ Fl に対して, j でラ
ベル付けされた点でのテータ関数の値は − Fl = {−l*, . . . , 0, . . . , l*} という自然な
同一視のもと − “μ2l・ qj2/2l” の元となる. (§13 や §18 や §19 の議論を参照.)
・ 上述の各 j ∈ Fl での特殊値に関する考察から, F×l = Fl \ {0} でラベル付けされ
た点での特殊値によって (b) が得られ, そして, 0 ∈ Fl でラベル付けされた点での代入に
よってある単数的加群 “O×μv” が得られることがわかる. この単数的加群は, 後に, 対数写
像 “O×μv〜→ (Fv)+” を通じて, (b) (や (c)) に対する適切な “入れ物” としての (a) となる.
(§19 や §20 の議論や §8 や §9 の議論の一部を参照.)
・ 考察しなければならない様々な局所的な状況におけるテータ関数の特殊値や代入
点を大域的に管理するために, 局所的な設定と大域的な設定とを関連付けなければならない.
(§19 の議論を参照.)

つづく