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つづき

極小モデル理論の初期段階から
たくさんのアイデアを出し続けていた Shokurov が 4 次元の極小モデルの構成を完成させたと主張し
たのは 2000 年頃であったと思う ([Sh4]). Shokurov の論文 ([Sh2], [Sh3], [Sh4]) はアイデアの宝庫
であるが, その難解さも格別である. ケンブリッジのニュートン研究所での Shokurov の論文 [Sh4] の
解読セミナー [BOOK]1) を経て, ここ数年, Hacon と McKernan を中心に急激な発展が再び始まっ
た ([HM3], [BCHM]). 数年前までは当分解決不能と思われていた大予想が次々に陥落しているので
ある.

今回はその大発展の一端を紹介したいと思う. この 20 年間の Shokurov のアイデアと, Siu に
よる乗数イデアルを用いた巧妙な拡張定理の手法 [Si1] の出会いが, 今回の大発展の切っ掛けである.
手っ取り早く大結果のひとつを述べておく.
定理 1 ([BCHM]) X を複素数体上定義された非特異射影代数多様体とする. このとき, 標準環
Lm>=0 H0 (X, OX(mKX)) は有限生成次数付き C-代数である.
もちろん X の次元は任意である. 代数幾何学を少し勉強したことのある人なら, 上の定理の強力さ
が分かると思う. 以下すべて複素数体 C 上で考えることにする. 特異点解消定理とコホモロジーの消
滅定理を自由に使うには, 基礎体の標数が零である必要があるからである. 1 章の残りでは [BCHM]
の主定理と主な系を述べる. 2 章では古典的な極小モデル理論, 対数的極小モデル理論, そしてスケー
ル付き極小モデル理論を解説する. 2.2 に必要な用語をまとめてある. 3 章では pl フリップと呼ばれ
る特別なフリップの存在問題について解説する. このフリップの存在定理が [HM3] の主結果である.
4 章は少し話題を変えて, 乗数イデアルとその応用として得られた結果のいくつかを説明する. 最近の
極小モデル理論の発展の背後にある話題である. 5 章で [BCHM] の証明のからくりについて論じる. 6
章に [BCHM] で実際に証明されたことを集めておいた. 最後の 7 章では, 今後の課題と極小モデル理
論関連の最近の結果のいくつかを述べる.
(引用終り)
以上