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つづき

2.1 商群の概念
群の概念が次第に定着してきたこの時期、商群 (な
いしは剰余類分解) の定式化が意外にうまくいっていないように見受けられるのである。
筆者が不思議に思ったのは、 このケイリーが晩年になって、ヘルダー (Otto Ludwig lmathrm{I}overline{mathrm{o}}mathrm{l}\mathrm{d}mathrm{e}mathrm{r},1859-1937) の論考にある G/H なる記号法を拒否していること、 のみならず、 1854 年論文の続きでも、
商群概念の理解についていちじるしく要領の悪いところをみせていることであった。
コーシーの著作の発表から 40 年が過ぎ、群概念も普及してきたと思われるこの時期に、 このよ
うな図式が書かれているのは少し意外である。 2 次元的な広がりをもつ概念を、そのまま理解する
ことが難しかったのだろうか。
これらと比べると、デデキントの仕事は (特に集合論的思考において) 優れたところを示してい
る。 1850 年代後半に行われた代数学講義 [1] を少しみてみよう。 内容は、置換論、 ラグランジュの
方程式論、 ガロアの方程式論について自らの解釈で再編集をほどこしたものである。
第 1 節が置換論であり、 まず置換の?般的な説明、 そして置換の積の定義の説明がなされる。
デデキントは、積の基本的な性質として、結合律、簡約律が成り立つことを述べる。 (簡約律は、
元の個数が有限の場合は、現在の単位元の存在および逆元の存在、 と論理的に同値になる。) さら
に興味深いことに、デデキントはこの二つの法則に公理的性格をもたせることができる旨の発言を
している。
第 4 項において、群 (Gruppe) の語が現れる。 ここでは積で閉じた (置換の) 集まりが群である
と定義される。 準備ののち、次の定理が証明される。

証明の方針はコーシーのものと同じである。デデキントは剰余類分解を次のように書き下してい
る。
G=K+Ktheta_{1}+Ktheta_{2}+\cdots\cdots+Ktheta_{n-1}
剰余類分解の記述に、元たちを?括してとらえた記号を用いている点では、集合論的理解が非常
に進んでいるといってよいだろう。 (記号の説明もあらかじめきちんとしてある。)

つづく