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2021.11.26 講談社
【早すぎた予言者 南部陽一郎】「福井の神童」が素粒子物理学の世界で挫折を味わった頃
「最高峰」プリンストンで神経衰弱に
大栗 博司理論物理学者
カリフォルニア工科大学教授・東京大学カブリIPMU機構長

「自発的対称性の破れ」をはじめとする数々の新理論を発見し、"質量"と"力"の起源に迫った南部陽一郎。その後のヒッグス粒子の発見や電弱統一理論の確立にも絶大な貢献をした彼は、20世紀最高の物理学者の1人と称されたにもかかわらず、ノーベル賞受賞は理論発表から半世紀近くも待たねばならなかった。

あまりにも時代を先取りしていたことから「予言者」「魔法使い」とも呼ばれた天才は、どのような人間だったのか? 初の本格的評伝『早すぎた男 南部陽一郎物語』の刊行を記念して、かつて南部研究室で「門下生」として身近に接した経験をもつ大栗博司氏(東京大学カブリIPMU機構長)が、師の逝去に際して寄せた追悼文を全3回にわたってご覧いただく。

南部陽一郎と素粒子物理学
南部陽一郎先生は現代の理論物理学の基礎となる数々の業績を上げられました。南部先生の偉大な足跡を辿りながら、ご研究の意義を解説し、先生を偲びたいと思います。

特殊相対論と量子論を統合した理論は「場の量子論」と呼ばれており、さらに一般相対論まで統合できれば、物理学の基礎がひとつの理論にまとまると期待されています。超弦理論はその最も有望な候補として提案されていますが、まだ検証されていないので、一般相対論と量子論の統合は達成されていません。これを図にまとめると、次のようになります。


つづく