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つづき

 一方、線形偏微分方程式から「形」を取り去っ
た「実体」である D- 加群を研究するのが代数
解析学です。「形」を忘れることで、与えられ
た対象から別の対象をつくり出す一般論(関手
性)をかなり自由自在に使えるようになります。
D- 加群の中でも特に重要なのがホロノミック
D- 加群です。柏原や Mebkhout によって示さ
れた正則ホロノミック D- 加群と偏屈層の間の
Riemann-Hilbert 対応や、旗多様体上の同変
D-加群とリー群の表現の間のBeilinson Bernstein対応などにみられるように、
ホロノミック D- 加群はいろいろな数学的対象の生ま
れ変わりになっています。そのため、線形偏微
分方程式の研究という枠を超えて、現代数学に
おける最も重要な研究対象の一つとなっていま
す。
 D- 加群は単純ホロノミック D- 加群と呼ば
れる基本部品から作られます。単純ホロノミッ
ク D- 加群を寄せ集めただけでつくられる
D- 加群のことを半単純ホロノミック D- 加群
といいます。

上で述べた関手性のうち、積
分や近傍サイクル関手を半単純ホロノ
ミック D- 加群に適用しても半単純性が
本質的には保たれるであろうというのが
柏原の予想です。これは代数解析において基礎
的な重要性を持つだけでなく現代数学の非常に
深い部分に連なる問題です。

つづく