>>79 追加

マシュー・ムーンシャイン
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_letter/data/news_2013_vol4/p08.pdf
マシュー・ムーンシャイン
立教大学 理学研究科 特任教授 江口 徹
研究の背景
超弦理論は10次元の時空に存在します。我々の住んで
いる時空は4次元なので、残りの6次元空間は目に見えない
ような小さなサイズの空間に丸まっているものと考えられます。
超弦理論が素粒子の標準理論を再現するためには、この
余分な空間がK3曲面と呼ばれる特別な4次元空間と、2次
元の球面(あるいはトーラス)から出来ている場合が最も具
合が良いことが知られています。
 K3曲面は自己双対曲率を持つ4次元で唯一の曲面で
K3曲面の名は3人の有名な数学者、エルンスト・クンマー、
エーリッヒ・ケーラー、小平邦彦からとられています。K3曲面
が現代の複素幾何学において最も基本的な役割を演じて
いることは広く知られています。

研究の成果
我々は、K3曲面上の超弦理論を考え、その楕円種数と
呼ばれるものを超弦理論の対称性を表す関数を使って展
開しました。すると驚くべき事に、その展開係数がマシュー群
M24と呼ばれる離散群の表現の次元と一致する事に気が
つきました。これはモジュラーJ関数と呼ばれるものをテイラー
展開するとその展開係数がモンスター群の表現の次元と一
致するという有名なモンストラス・ムーンシャイン(monstrous
moonshine)の現象を思い出させます。そこで我々の発見し
た現象はマシュー・ムーンシャイン(Mathieu moonshine)と
呼ばれるようになり、多くの研究者の関心を引く事になりまし
た。マシュー・ムーンシャインは有限群論、保型形式、複素幾
何学などさまざまな数学の分野の接点にあり、超弦理論とも
密接な関係を持っています(図)。マシュー・ムーンシャインを
テーマにした研究会が、名古屋大(2011年)、連邦工科大
(スイス、2011年)、サイモンズ研究所(米国、2013年)、立教
大(2014年)で開かれました。この間、マシュー・ムーンシャイ
ンは拡張されて、現在までに20数個の関連するムーンシャイ
ンの系列が見つかっていますが、その物理的な起源や数学
的な構造はまだまだ謎に包まれています。

つづく