>>456

【付記: 2019.11.12、 (*0)を追記: 2020.1.29】
上記は本書を一読した1991年12月に書いた感想のメモである。今回本書のレビューを投稿したのは、調和積分論も変分法を発祥の地としていること(*1)、変分法の幾何学への適用範囲がその後も着実に拡がっていること(*2)、などを述べてみたいと思ったからである。

(*0) Hodgeの分解定理を解説するテキストでは、F.W. Warner『Foundations of Differentiable Manifolds and Lie Groups』(GTM 94)が定評のある標準書である。邦書では今野宏『微分幾何学』の第11章に、Dirac作用素の解析的性質を用いる証明が載っており、読者をDirac作用素の指数定理へと誘ってくれることだろう。

(*1) ある与えられたド・ラーム類(代表元ω、dω=0)に属する微分形式で、そのノルムが最小になるものを考える。ωより次数が1だけ低い任意の微分形式ηに対し、ω + tdηのノルムがt=0で最小になる条件(tの2次式がt=0で最小値をとるので、tの1次の係数が0である)から、0 = (ω,dη) = (δω, η)、即ちδω=0が導かれる。従って、ド・ラーム類に属するノルム最小の元として「調和形式」(dω=0かつδω=0、即ちΔω=0となるω)が出現する。この事実は単純だが、いくら強調してもし過ぎることがないほど重要なものである【調和積分論を学ぶ際に、ノルム最小のド・ラーム類の元として調和形式が現れるという視点をぜひ持っておきたい】。