つづき

 父が教授に就任したばかりの工業専門学校へ全部寄贈したのですが、父に「欲しい本があったら取ってもいい」と言われ、モダンアナリシスを選びました。英語で内容も高レベルだったので、中2の僕には何も分からなかったんだけど、子供心に「これが良さそうだ」と思って1冊だけ選んだら、大当たり。中3の終わり近くに読み始め、今も大事に使っています。

《東大で岡さんの3学年下だった高木光司郎・富山大名誉教授(87)は「モダンアナリシスは、私が大学生の時に『数学をやるなら読んでおきなさい』と言われたレベルの本」と語る》

 数学者が僕のアイドルでした。古本からオイラーやガウスなどの肖像画を切り取り、部屋中に飾っていた。特に憧れたのが、子供の頃から良い仕事をして早世したガロアやアーベルです。「僕もすごい仕事をして26歳までに死ぬんだ」なんて思っていた。でも、そんな才能はないから、到底できなかった。

 《ガロア(仏)は20歳の時に決闘死。アーベル(ノルウェー)は26歳の時に結核で死亡。いずれも19世紀前半の天才的数学者だった》

 戦後の混乱で1年半ぐらい、まともに学校へ行かなかったのが幸いでした。好きな数学の独学に没頭できましたから。

 学校教育というのは、できていない人を引き上げる意味はあるけど、意欲にあふれた生徒の才能をしばしばつぶしてしまう。それは今も僕の持論です。(分光学者)
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(引用終り)
以上