>>990
本書の6章「落ち込んだ気分と、諦める力」の167ページ程から、
「狩猟採集社会の人が、目の前にあるラズベリーの茂みに対して、どれだけ熱意を注いでラズベリーを探すべきか、そしていつやめて次の茂みへ行くべきか」
という、狩猟採集社会でよくありそうな状況を考え、
そこから感情やモチベーションや気分についての進化論的仮説が説明されています。

ラズベリーの茂みを見つけたときは、どんどんラズベリーが取れ、スピードが上がるが、少なくなっていくとスピードが下がる
しかし次の茂みを探すのはエネルギーもかかる。またラズベリーを取りすぎても重くて持ち帰れない。
ではどのタイミングで今の茂みを離れて次の茂みを探しに行ったり、ラズベリー狩りを中断するのがよいのか?

この行動モデルは数理科学的にもちろん定式化することもでき、その解を数学チックに求めることも可能です。
が、ここで「モチベーション」や「気分の浮き沈み」が重要な役割を果たすというのが、進化心理学的な視点です。

つまり、人は単に、次の原則に従えばよく、実際にそうしていることでしょう:

今の茂みをやめて次の茂みへ行く or やめるのは、単にモチベーションが落ちて気分が下がってきたときにそうすればよい

このように、何か決断をするときの指標としてモチベーションや気分があるのだとしたら、モチベーションや気分という心理学的な概念は、このような意思決定を行うときに重要な役割を果たすものとして生じてきたという進化論的説明が可能なのではないか、という主張です。
(もちろん事情はそこまで単純ではなく、いろいろな議論が本ではなされています。)
本ではその後、実際の人生で「何かをやめる・諦める」等の意思決定や重要な決断における、気分やモチベーションの果たす重要さが言及されています。