https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08617/
物体を“透視”する数式、乳がん・電池欠陥・銃検知で実用化へ
野澤 哲生 日経クロステック/日経エレクトロニクス
2023.11.14

 コンクリート内部の亀裂、乳がんや電池内部の欠陥、衣服の下や荷物に隠した銃、さらには月面の地下空洞の有無などを“透視”し、検知・検出することに使える方程式が神戸大学の研究者によって発見され、その装置の本格的な実用化が間近に迫っている(図1)。乳がん検診では、従来の検診手法に比べて診断精度が格段に高まるケースが見込める。しかも受診者にとっての負担を大幅に低減できるようになる。

散乱した波動から物体の形状を逆算
 この“透視”する方程式を発見したのは、神戸大学 数理データサイエンスセンター 教授の木村建次郎氏(図1(b))。方程式の発見は2012年でその時点で実用化を目指すベンチャー、Integral Geometry Science(IGS)を興した。だが、研究を始めたのはさらに10年超遡る。「この方程式の探索は手計算で試行錯誤するしかなく、10年かかった」(木村氏)。ただ、これによって「波動散乱の逆問題」とも呼ばれる、それまで未解決だった数学的問題を解決した。

 そのやや詳しい説明は本記事後段でするが、直感的な理解のため、まずは「波動散乱の順問題」を説明する(図2)。

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