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[AI近未来]第4部 覇権とルール<2>「純・中国産」世界に衝撃
2025/11/11 読売

 最先端の生成AI(人工知能)を開発した新興企業ディープシークの創業者、 梁文鋒リャンウェンフォン 氏の生家だ。観光客が多く訪れるようになったため、近くには屋台も立ち並び、同社のシンボル・クジラをあしらった帽子や特産品を売っている。観光で訪れた50歳代女性は「彼なら米国に対抗できる」と誇らしげだ。

 地元で英雄視される梁氏はAI大国の米国で学んだことも、働いたこともない。「天才少女」と有名になった 羅福莉ルオフーリー 氏を含め、1月時点の同社の開発陣約140人はほぼ海外で学んだ経験はないとされる。それでも低いコストで米国に匹敵する「純国産」AIの開発に成功し、世界に衝撃を与えた。

 AI開発は長年、米国が圧倒的に世界をリードしているとみられてきた。だが1月にディープシークが高性能モデル「R1」を発表し、その常識を覆した。米国内では、ソ連に人工衛星の開発で出し抜かれた過去になぞらえ、「第二のスプートニク・ショックだ」との声も上がった。

 AI技術は軍事への応用も進みつつある。「米政府はAIが核兵器に匹敵する重要兵器になり得ると考えている。中国の台頭は米国の覇権を揺るがしかねず、危機感は相当強い」。AIに詳しい米国の弁護士は話す。

 北陸先端科学技術大学院大の今井翔太客員教授は「中国系AIは大学の研究者らを中心に世界的に利用が広がっており、日本でも多くの新興企業が使っている。米国系と比べて小型で性能が高く、用途に応じて改良できる点が支持されている」と指摘する。

「米国はAIを同盟国などへ輸出しなければならない。さもなければ、同盟国や友好国はライバル国に流れてしまうだろう」。7月23日、トランプ政権がまとめた「AI行動計画」は、中国に対抗するため米国製AIを世界に普及させる方針を打ち出した。

 そのわずか3日後、中国もAIを巡る行動計画を発表。「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国・途上国のAI開発を支援する必要性を強調した。両者の攻防は一段と激しさを増す。

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