いいね

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20260623-4616209/
news.mynavi.jp
レポート
なぜMicrosoftはWindowsをLinuxに近づけるのか
2026/06/23 後藤大地
目次
Build 2026で見えたWindowsとLinuxの接近
Coreutils for Windows
WSLコンテナ (WSL containers)
Developer Optimized Windows
なぜMicrosoftはここまでLinuxを取り込むのか

なぜMicrosoftはここまでLinuxを取り込むのか
この変化は、かつてのMicrosoftを知る人ほど意外に映るかもしれない。2000年代のMicrosoftはLinuxを競争相手とみなし、Windows Serverとの市場競争を繰り広げていた。しかし、AzureやGitHubを抱える現在のMicrosoftにとって、Linuxはもはや敵ではなく重要なパートナーになっている。

Microsoftにとって合理的な選択は、開発者にWindows流を強いることではない。Windows側がLinuxワークフローを受け入れることだ。これは戦略的な譲歩であると同時に、Windowsを開発者の机の上に残すための防衛策でもある。

Microsoftのビジネスモデルも変わった。Windowsのライセンスだけで成長する時代ではなく、Azure、Microsoft 365、GitHub、Copilot、セキュリティ、開発者向けクラウドサービスが重要になっている。開発者がWindowsを使うかどうかは、AzureやGitHubの利用にも影響する。Windowsが現代的な開発環境として魅力を失えば、Microsoftの開発者エコシステム全体に影響する。だからこそ、Linuxを取り込むことはWindowsの純度を下げる行為ではなく、Microsoftのプラットフォーム戦略を強める行為になる。

WindowsとLinuxは対立から共存へ
かつてWindowsとLinuxは対立軸として語られていた。企業のサーバー、デスクトップ、開発環境をめぐって、WindowsかLinuxかという選択が強調された時代があった。Microsoft自身も、オープンソースやLinuxに対して強い警戒感を示していた。

しかし現在の構図は大きく違う。クラウドではLinuxが広く使われ、MicrosoftはそのLinuxワークロードをAzureで支えている。GitHubはオープンソース開発の中心にあり、Microsoftの傘下にある。VS CodeはWindows、macOS、Linuxで使われるクロスプラットフォームのエディターになった。PowerShellもオープンソース化され、Linuxで動く。Windows Terminal、WSL、WinGet、Dev Home、GitHub Copilotなど、Microsoftの開発者向け施策はOSの境界をまたぐものになっている。

Build 2026で見えたのは、この流れの完成形に近い姿だ。WindowsはLinuxに勝つためのOSではなく、Linuxと共存するためのOSになりつつある。より正確に言えば、WindowsはLinuxを内包する開発端末になろうとしている。

Build 2026のWindows関連発表は、そのメッセージをはっきり示している。AIの時代においても、開発者が実際に触るのはターミナルであり、コンテナであり、Gitであり、Linux的なツール群だ。MicrosoftはそこにWindowsを合わせようとしている。Windows vs Linuxの時代は終わりつつある。これからのMicrosoftが目指すのは、Windows + Linuxの開発環境だ。