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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG120C30S6A910C2000000/
数学難問をAIで解決、フィールズ賞25人が非難声明「科学に有害」
サイエンス
2026年9月12日 日経

「数学のノーベル賞」とも呼ばれるフィールズ賞を受賞した数学者25人が11日、人工知能(AI)を使って企業が数学の難問を解決しようとする動きを非難する緊急声明を公表した。今後さらに多くの数学者の署名を募るという。

米オープンAIが「ナビエ・ストークス方程式」と呼ぶ数学の難問を解決したと発表したことを受けての声明とみられる。ナビエ・ストークス方程式は米クレイ数学研究所が2000年に発表し、賞金100万ドル(約1億5000万円)をかけた7つの難問「ミレニアム懸賞問題」の一つだ。

緊急声明に名を連ねたのは1990年にフィールズ賞を受賞した京都大学の森重文名誉教授や2006年に同賞を受賞した米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のテレンス・タオ教授ら25人。「数学におけるAIの深刻な不整合」というタイトルで、事態の緊急性を鑑み、早急に声明を発表すべきだと判断したと説明する。

声明では「AI企業がベンチマークとして数学的問題の解決を推進することは、数学という科学そのものや数学コミュニティーにとって有害だ」と指摘した。AI開発企業の目標と数学者コミュニティーの目標は「著しく乖離(かいり)している」とした。

オープンAIは未公開のAIモデルを使って9月1日から約88時間かけて難問を解いたという。約1万体のAIエージェントを稼働して連携させ、AI同士は計270万近いメッセージをやりとりしながら協力したという。

AIによる研究では数学者が重視する概念の理解よりも、問題を解決したという側面だけが強調される。この動きに対して「問題解決はあくまで手段であり、概念的な理解と洞察という主要な目標を達成するための代用手段に過ぎない」と非難した。その上で、今後AIによって難問の真偽判定だけが大量生産されることに対する懸念も示した。

オープンAIなどによるAIを使った数学の解決手法の発表のやり方については適切な解説や特定のアイデア、他者の先行研究の引用などを精査していないとし「著作者の帰属や(アイデアの)剽窃(ひょうせつ)に関する深刻な問題を生む」とも指摘した。