https://www.yomiuri.co.jp/note/hensyu-techo/20260725-GYT8T00004/
7月25日 編集手帳
2026/07/25 読売新聞

 思い出という言葉は、覚えているから思い出なのだと思う。では、ずっと忘れていたことを思い出すのは何というか。日本語に適当な言葉がない気がする
◆坪内稔典さんが監修した『小学生のための俳句入門』(くもん出版)に男の子らしい作品を見かけた。<ポケットでせみのぬけがらぺったんこ>。大人になった今なら絶対にしないが、ズボンのポッケからせんべいみたいなセミの抜け殻が出てきて、がっかりしたのを思い出した
◆子供は外で遊ぶと、いろいろやらかすものなのだろう。夏休み、宿題だけではつぶせないほどの長い時間があったことも思い出す
◆前掲の本に女子児童の作品もあった。<ひまわりに五センチメートルまけました>。麦わら帽を脱いで背比べをしたのかもしれない。ひまわりは家のなかには咲いていない。その植物が太陽の方角を向くことも、図鑑ではなく花壇のそばで知ってほしいものだが、この熱暑である
◆<たおれてる自てん車さえもねっちゅうしょう>(小2女子)。数十年後、温暖化に歯止めはかかっているのかどうか。熱中症が、忘れられた言葉になるといいけれど